ファイアープレイスという「場所」

ファイアープレイスという「会社」ではなく「場所」と書いた。

それは、ひとくくりに会社と言うには、どこか違っているから。外から見たファイアープレイス(FP)はどんな風に見えているのだろうか。おもしろそうなことをしている会社?熱い志を持つ人たちが集まる会社? 一般的な「会社」という言葉の持つイメージとはおそらく違う。私がFPで過ごした2年、そこから見えたものは個人的な話ではなく、これからの社会全体の働き方が変わっていく一端なのかも知れない。

学生時代から私は居場所を探していた。友だち、家族、学校、習い事、部活…ここは居心地が良いと思える場所。本当に心が求めている場所には出会えなかった。FPとの出会いは、当時在籍していた職場がなくなることがわかり、転職先を探していた時に求人情報を見つけたことがきっかけだった。人と人がつながる場づくりという言葉にワクワクし、流れるままに北海道から川崎へ赴いた。

一緒に働くメンバーのビジョンや志、イベントや勉強会が常に行われている都会の熱いエネルギーは、狭い世界しか知らなかった私には衝撃的だった。メンバーは、それぞれが自分は何をしたいのかを想い描きながら行動していた。その上でFPのビジョンに共感するから集まっていた。

飲食店ロックヒルズガーデンの運営以外にも、イベントプロデュースなどの仕事、異業種の方と話す機会、野外キャンプや合宿などもあった。FPは、業務内容で動く会社ではない。ビジョンで動くから1つの場所にとどまらず色んな事に挑戦する機会がある。

これまで、会社の決めた業務内容をこなす日々を過ごしてきた私は、しばらく自分が何をしたいのか主張することもなく、会社の役に立つには、利益を上げるにはどうしたらいいかということばかり考えて働いていた。いつも「何がしたいの?」と聞いてくれるメンバー。好きなこと、やりたいことはあるけれど、主張するほどのものではないと感じた私は答えられなかった。

スタートしたばかりのFPだから、勤務内容なども試行錯誤していた。働いた時間ではなく、成果を重視し自ら行動することで仕事に繋げられる仕組み、これからの新しい働き方を試しつつ取り入れていた。今までと違う働き方に初めは戸惑うことが多かった。仕事の内容や働く時間を自分で考えて行動することには、自由と責任のバランスをとることが必要だった。

そんな環境にいると、徐々に私の中で「働くこと=会社の決めた業務内容をこなすこと」ではなくなってきた。人それぞれに得意不得意や好き嫌いがあるのはおかしいことではなくて、それを無視した働き方をする方が実はもったいないことなのではないか。会社のルール、就業時間、人間関係、制度などで縛るよりも、その人がやりたいことを活かせる方法を探したほうがずっと社会の役にも立てるし楽しく生きられる。そうするのは簡単ではないかもしれないが、やりたいことというのはその人の我儘ではなくてヒントだと感じるようになった。

私は今、北海道で本業の傍ら日本の伝統色和紙を切り貼りしたモノづくりをしている。お店のPOPや絵本などを作り、それを見た人がふと元気になれたら嬉しいと思いながら。まだ仕事としては一歩踏み出した程度だが、何より、やりたいことに向き合えていることが幸せだ。学生時代から探していた居場所はきっと、やりたいことを応援し合える仲間がいる場所なのだと思う。実際には東京と北海道で離れてしまったけれど、FPで出会ったメンバーとは変わらず励まし合える仲間でいる。

FPは会社というより、それぞれのやりたいことワクワクすることに向き合える場所。応援し合える仲間がいる場所。朝起きてなんとなく会社に行き、休みの日は疲れて寝てしまって…という働き方を私は卒業したい。もっとそれぞれがいきいきと働ける社会になることを願っている。FPは、そういうことを私に教えてくれた大事な場所だ。

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